HOME > ニュースリリース > トラックの価値 再評価してみれば・・・ 赤字企業 実は 優良企業
2015年3月
スタート2年の動産担保融資(ABL)
時価査定で資金調達容易に
7万社ある運送業の内8~9割が赤字と言われている中、4千万円の債務超過の運送会社が、実は6千万円もの黒字だったと興味深い話がある。
銀行からも融資の見合わせを通告された企業を救ったのがトラックの実際の価値であった。リースや中古トラックを扱う会社社長がその企業の保有車両をすべて査定したところ、決算書に計上している車両運搬具は500万円弱が、実勢価格は1億1千万円あることを示唆。それを日本中古トラック査定協会の査定書を決算書に反映させ、実際は6千万円の黒字の優良企業であったということだ。
トラックに最適
運送事業者が赤字の理由の一つである、車両費用の早い償却期間と裏腹に、税務上償却済の簿価1円の車両が帳簿上評価されないことだ。
金融庁が2013年2月に動産担保融資(ABL)の積極的な活用により、もっと中小企業に融資を増やそうと方針を立てた。
「まさしく動産の価値のあるトラックにはABLに最適」とトラックリース事業のグリーンベル(神奈川県川崎市)の葛西宣行社長は語る。同社ではトラックを担保にしたリースやローンを積極的に展開しており簿価ではなく時価で融資することで救える運送業者がたくさんいるという。
様々な波及効果
5年で1円まで圧縮された資産を会計(決算書ベース)で再評価することで財務諸表は著しく改善する。運送業の積極的な設備投資につながり、運送業界だけではなく周辺の掲載効果も期待できる。金融機関からみて要注意先や実質破たん先も実は優良企業であった可能性も少なくない。税金の滞納、社会保険税の未払いも資産価値を正当に評価することで生まれるキャッシュフローを期待できる。
運送会社の資産の内訳は現預金、売掛金、車両運搬具がほとんどであり、その資産の大部分を占めるトラックの価値が5年で1円では、運送業者が赤字と呼ばれる所以がそこにあったのだ。また会計を扱う税理士は税務処理だけではなく、企業会計原則に則った会計、正しい企業価値の報告をしなければならない。
ABLの普及によりトラックの価値が改めて評価されることで、商用自動車の流通より活発に行われる。中古トラックの専門誌なども出てきたことなどから運送業の資産価値に着目したビジネスはこれから活発になっていくと思われる。さらに自動車メーカーも商品価値の下がらない車両づくり、リセールバリューを支えている海外のニーズを見越した車両づくりを期待したいものである。
掲載:「日刊自動車新聞社」(外部サイト)